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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2016.07.26IP中国:権利行使連絡係データベース構築 他


中国:権利行使連絡係データベース構築

中国国家工商行政管理総局商標局は2016年07月05日付通知を公布し、中国の登録商標の海外権利者の権利行使連絡係データベースを構築することを発表した。このデータベースは国家工商行政管理局の全国のネットワークに共有され、地方工商管理局(AIC)が職権により権利侵害の疑いが見つかった場合、速やかに権利者に連絡し、権利状況の確認及び権利侵害の報告などに使用される。
かつて権利侵害の疑いがあった場合、地方工商管理局が海外の権利者と連絡しにくかったことが今回の抜本的な改革とデータベースの構築に乗り出した背景にある。尚、連絡係は中国国内に居住するものでなければならず、中国国内の弁理士でも良い。

通知では07月20日までの登録をよびかけているが、実際には当局のデータベースで公布される前にも非公式で登録を募集していたこともあり、関係者は恐らくこの期日を過ぎても登録は可能であると予測している。

データベースへの登録にあたりオフィシャルフィーは特に発生しない。


[出典:中国国家工商行政管理総局商標局]


インド:局指令未対応案件公布

インド商標局が2016年07月11日付通知で発表したところでは、2016年03月から04月にかけて第9条(絶対的拒絶理由)、第11条(相対的拒絶理由)及びその他の条項に基づき発せられた局指令は13,062件ある。しかしこのうち9,578件が局指令の発送日から30日以上を過ぎても出願人/代理人から何の通信・回答もなく未対応となっている。当局はこれらの案件を公報で発表し、2016年07月31日までに何等かの対応をするよう求めている。当該期限内に対応がなかった案件は放棄と看做される。

該当案件は以下で確認可能である。


[出典:S.S. Rana]


インドネシア:ライセンス登録に関する施行規則公布(続報)

2016年03月23日号でインドネシアにおけるライセンス登録の施行規則が公布されたことをお伝えした。同国において規則が施行されてから現在まで、約20件のライセンス登録が申請されたが、全て審査中であり、登録となったものはないとのことである。


[出典:SPRUSON & FERGUSON]


日本:2016年度「模倣品・海賊版対策の総合窓口に関する年次報告」公表

経済産業省及び関係省庁が、この1年に実施した模倣品・海賊版対策等について取りまとめた「模倣品・海賊版対策の総合窓口に関する年次報告」が2016年07月01日に公表された。

これは主に産業界への情報提供を目的として、「知的財産推進計画」に基づき、毎年、政府が総合窓口として行っている相談受付業務等の内容を「年次報告書」として作成しているもので、2006年以降、政府模倣品・海賊版対策の総合窓口である経済産業省と関係省庁(内閣官房、警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省及び消費者庁)が協力して作成し、今回で11回目の報告書となる。報告書のポイントは以下の通り。

1. 総合窓口の業務

1.1 受付件数・受付方法

2015年の相談件数は過去最高の334件であった。情報提供件数は、575件で2009年以降では最低で昨年の1,855件の3分の1以下であった。受付方法は昨年同様、約9割がメールであった。

1.2 知的財産別相談案件

例年と同様、商標権が約44.7%と最多で、次いで著作権17.4%、不正競争12.5%、特許権12.1%、意匠権7%など。

1.3 模倣品製造国が判明している相談案件

中国が61.5%で最多、日本が21.2%、以下台湾3.6%、韓国3.8%と続き、昨年と比べ、中国は大差ないが、日本が上昇、台湾、韓国が減少している。

2. 模倣品・海賊版被害状況

2.1 模倣品・海賊版被害の動向

被害社数は896社で、前年に続き高止まり、被害率(被害者数/総回答企業数)は21.9%でほぼ横ばい。

2.2 国・地域別の模倣被害状況

被害社率:中国67.0%、台湾19.7%、韓国19.7%、アセアン6ヶ国20.4%等
被害額率:中国59.0%、台湾・韓国10.5%、東南アジア13.6%、中東6.8%等

2.3 インターネット関連の被害

模倣被害企業の6割以上がネット上で被害を受け、内訳は海外ネット通販サイトが48.2%、国内ネット販売サイトが32.3%、ネット上でのコンテンツや著作物等の違法コピー25.1%、国内オークションサイトでの模倣品取引15.8%等。

3. トピックス

3.1 液晶TV問題

外形的には商標なしで、電源をいれると画面にSONY等の有名商標が出現する例が昨年から継続している。

3.2 中国での冒認出願

日本企業の商品ブランド、地域ブランド、地名、アニメキャラ等に無関係な第三者による出願(冒認出願)が後をたたず、その背景として、ネットの普及で海外ブランドの情報入手が容易となり、先に登録した商標の高価買取をさせる者が増加していることがいえる。


[出典:経済省]


日本:INPITタイムスタンプ保管サービス開始

独立行政法人、工業所有権情報・研修館(INPIT)は、2017年03月から企業秘密の発生時期を認証するタイムスタンプ保管サービスを開始する。

想定される活用例として

  1. (1)特許、意匠、商標等の侵害訴訟において、被疑侵害者が先使用権を主張する際に、発明や意匠の実施である事業又はその準備をしていたことを立証したり、商標の先使用を立証したりするケース
  2. (2)他者の特許権や意匠権の有効性を争う審判や訴訟等において、特許や意匠登録の無効理由となる技術情報等が、出願された時点において公知であった事実を立証するケース
  3. (3)商標登録の取消しの審判において、商標権者等が登録商標の使用を立証するケース
  4. (4)営業秘密漏えい事件の訴訟において、漏えいした技術を営業秘密保有者自らがその時点以前に保有していたことを立証するケース

などが挙げられている。

詳細については以下で確認できる。


[出典:INPIT]


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