2017.11.14IPEU:BREXIT後の知的財産権に関するポジションペーパー発表 他
- EU:BREXIT後の知的財産権に関するポジションペーパー発表
- モザンビーク:ARIPO商標制度加盟へ
- ウクライナ:知的高等裁判所設立及び早期審査費用上昇
- イラク領クルド:商標庁運営再開
- トルコ:EU法との調和へ
- イラク:出願中の案件に係るプラクティスの変更
- エジプト、イラク、ベネルクス:オフィシャルフィー変更
EU:BREXIT後の知的財産権に関するポジションペーパー発表
2017年09月07日、欧州委員会は英国によるEU離脱(BREXIT)後の知的財産権の取扱に関するポジションペーパーを発表した。
これは、2019年03月末に予定された英国のEU離脱後の影響と知的財産権の取扱について、EUの立場をまとめたものであり、全3章、5ページで構成された比較的短いものである。
内容としては、EUと英国の間で締結される予定の離脱協定(Withdrawal Agreement)において、以下の5点について確認を求めている。
1)EUにおいて単一効力を有する知的財産権(intellectual property rights having unitary character)について、英国またはEU加盟27カ国の保有者が、英国の離脱日前にEU法に基づき英国で享受している保護は、離脱によって弱め
られることがないようにする。
2)離脱日時点、EUで係属中の単一効力を有する知的財産権に係る手続関連の権利(優先権など)が、対応する知的財産権の英国出願に際し、失われないようにする。
3)離脱日前に英国で係属中の補足保護証明書(Supplementary protection certificates)またはその期限延長申請は、EU法で定められた条件に基づき遂行されるようにする。
4)離脱日前に英国及びEU加盟27カ国において保護されているデータベースは、
離脱後も保護を享受できるようにする。
5)離脱日前にEU域内で消尽した知的財産権は、離脱によって影響を受けることはないものとする。権利消尽の条件は、EU法で定義されたものに基づく。
ポジションペーパーは更に第2章で、EUにおいて単一効力を有する知的財産権について以下のように定義している。
- 欧州連合商標
- 登録共同体意匠
- 未登録共同体意匠
- 共同体植物品種権
- 地理的表示保護
- 原産地表示保護
特許に関しては欧州連合の管理外であるとし、ポジションペーパーには含まれていない。
今後、このペーパーは27か国で協議された後、英国に提示される予定である。
しかしこれらの確認は英国側に、専ら認定の努力と費用を要求するものであり、英国側がそのまま受け入れるかは不明である。
ポジションペーパーについては、以下のリンクから確認できる。
[出典:AIPEX]
モザンビーク:ARIPO商標制度加盟へ
2017年09月19日、モザンビークはバンジュール議定書への加盟を決定した。モザンビークは既に特許等についてはARIPO制度に加盟しているが、商標においては同制度を採択していなかった。今後ARIPOへの加入書を委託するが、現時点では時期は未定である。
[出典:Adams & Adams]
ウクライナ:知的高等裁判所設立及び早期審査費用上昇
2017年09月29日、ウクライナは大統領令第299/2017号により、知的財産に係る高等裁判所をキエフに設立することを決定した。裁判所は21名の裁判官で構成され、それぞれ商標、特許、著作権等を扱う。
また、知的財産局も行政命令第197号を2017年09月28日付で発行し、商標の早期審査に関するオフィシャルフィーの上昇を決定した。
新オフィシャルフィーは2017年10月01日から適用されており、文字/図形商標又は結合商標によって料金が異なる。
[出典:Mikhailyuk, Sorokolat and Partners]
イラク領クルド:商標庁運営再開
2017年10月11日号で商標庁の運営中断をお伝えしたが、既に出願中の案件に関しては商標庁が審査を続行する旨の発表があった。ただし、新規出願については受け付けていない。
[出典:NJQ & Associates]
トルコ:EU法との調和へ
トルコ特許庁は、EU法とトルコ知的財産法との調和を目指した、新しい商標のガイドラインを公布した。
ガイドラインは類似性に基づく異議申立における使用証明に焦点を当てており、異議申立人の根拠商標が登録から5年以上経っている場合、特許庁は使用証明を求める。請求人が使用を証明できなかった場合、異議申立請求は受け入れられない。
証明は明確で正確なものでなければならず、異議申立通知の1ヶ月以内に特許庁から出願人に送付される。
[出典:Moroglu Arseven]
イラク:出願中の案件に係るプラクティスの変更
イラクにおいて、先日新しい商標登録官が赴任した。非公式の情報によると、同登録官は以下のプラクティスの変更を予定しているという。
- 同人赴任以前の全ての係続案件の審査中止
- 審査を希望する場合は、再出願を行うこと。この場合、元の出願をベースに再出願が可能であり、先の出願日から再出願日までの間に出願した第三者に対して、商標の所有権を主張できるという。
- 更新期限を迎えているものの、未だ登録証が発行されていない案件については、更新ではなく再出願を行わなければならない。
- 変更登録について、公報に掲載しなければならず、公告日から30日後に登録証が発行される。
代理人によれば、上記は登録官が口頭で発表したものであり、実際に施行されるか、また詳細は不明である。
進展があり次第、IPニュースでも続報をお伝えする予定である。
[出典:NJQ & Associates]
エジプト、イラク、ベネルクス:オフィシャルフィー変更
エジプト商標庁は2017年省令第264号により、2017年10月15日よりオフィシャルフィーを上昇すると発表した。
新オフィシャルフィーは新規出願のみならず、係属中の全ての商標に関して適用される。
イラク商標庁は2017年10月30日付で更新、変更登録等に係る公告のオフィシャルフィーの上昇を発表した。
新オフィシャルフィーは2017年11月から新規出願のみならず、係属中の全ての商標に関して適用される。
また、ベネルクス知的財産庁もすでに2018年01月から適用される新しいオフィシャルフィーを発表している。
[出典:Jah & Co.]