IPニュース IPニュース

商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2010.11.09IPインド:権利消滅の商標権の復活申請受付 他


インド:権利消滅の商標権の復活申請受付

インドでは過去6ヶ月の間に更新登録料未納によって56,429の商標が権利消滅した。
しかしながら、権利消滅に関する商標庁からの通知を受け取っていない、また通知が発せられた場合でも、変更前の住所に送付された、或いは原登録時に登録証すら受け取っていないという苦情があったため、インド商標庁は2010年11月30日まで権利復活の上申書を受付けるとの通知を出した。

上申書提出にあたっては、不更新の理由と経緯を記した説明書等を提出する。


[出典:Remfry & Sagar]


ウガンダ:商標法改正

ウガンダでは商標法2010-17号が改正され、2010年9月3日以降サービス商標が登録できるようになった。
同法では商標を視覚的に表現でき、且つ自身の商品又は役務を他者のものと識別できるものと定義している。また、ある指定商品又は役務がどの区分に属するか疑問が生じた場合、それを決定するのは登録官であるとしている。
しかしながら、同法の施行規則はまだ発表されていない。


[出典:Abu-Ghazaleh]


ジンバブエ:商標法改正によりARIPO商標登録が有効に

ジンバブエ政府は政令2010/125号及び2010/152号により、2010年9月10日付で改正商標法(2001/10)及び知的財産権裁判所法(2001/5)を発効した。

改正商標法の主要点として、ARIPO経由で同国を指定した出願について保護を認めることが挙げられる。また同法では商標についての定義を拡大、著名商標の保護、団体商標の登録、登録・未登録商標に対する不正競争に関する保護、商標権者及び使用権者に対し、侵害商標を付した商品の輸出入を止める権利を認める等、TRIPS協定の内容と合わせたものになっている。
また、知的財産権裁判所は知的財産権に関するあらゆる民事事件を扱うが、刑事事件に関しては従来通り高等裁判所の管轄となっている。
尚、同国における経済危機と通貨の切下げにより、ジンバブエでは2009年4月より全ての取引は正式にUSドルで行われており、裁判所が下す損害賠償についてもUSドルで決定される。

バンジュール議定書の批准8カ国(ボツワナ、ナミビア、ウガンダ、レソト、スワジランド、ジンバブエ、マラウイ、タンザニア(タンバニーカ))のうち、今まで国内法にARIPO登録からの権利承認を明確に規定していたのはボツワナのみであり、その他の国ではARIPO商標登録の有効性は疑わしいとされていた。
ジンバブエはボツワナに続いて、ARIPO商標登録の有効性を国内法で規定したことになる。


[出典:INTABulletin]


アイルランド:新商標規則2010発効

アイルランドでは商標規則が改正され、2010年10月4日付で発効となった。 新規則は商標登録手続を近代化しており、下記が特徴として挙げられる。

  • 異議申立において、当事者はヒアリングへの出席の代わりに書面提出を選択できる。
  • 商標権の無効宣言申請手続が変更され、異議申立手続と調和された。
    従って、無効審判は請求書の提出、答弁書の提出、続いて出願人及び商標権利者双方の主張を裏付ける証拠の提出と続く。
  • シリーズ商標について、1出願に含める商標の数は最大で6商標となる。

[出典:SMD]


イギリス:異議申立の起算日変更

イギリス特許庁は2010年9月30日に異議申立に関する通知を発し、商標出願に対する異議申立期限の算出には出願公告日が算入されることになった。 異議申立期間については、これまで同様2ヶ月だが、異議申立期限は一日短くなる。
例えば、これまでは公告日が10月9日のものの異議申立期限は12月9日だったが、今後は公告日が算入されるため、12月8日が期限となる。


[出典:Marks & Clerk]


シリア・ガザ:書式の変更

シリア特許庁は、2010年7月より、委任状に国外での領事館による認証を受け、次いでシリア国内において更にシリア外務省の認証を受ける二重認証手続(superlegalization)を取るよう通知していたが、シリア高等法院は決定2010-263号によって、当該手続を支持した。
シリア国内における認証手続は少なくとも2、3ヶ月はかかるが、現在継続中の案件全てに適用され、6ヶ月の猶予期間内に提出しなければならない。

これにより、例えば出願であれば、出願日から6ヶ月以内に二重認証を受けた委任状を提出できなかった場合、当該出願は放棄と見なされ、再度出願費用を支払い元の出願を再有効化させなければならない。
しかしながら、一度二重認証を受けた委任状を提出すれば、以後当該書類は現地の公証人の手元に保管され、新規出願の際には同人より証明書を受け取ることができ、出願人側で新たな委任状を提出する必要がない。

また同じくガザでは今まで委任状に認証不要であったが、今後パレスチナ代表機関の領事証明が必要となり、更に出願日より1ヶ月以内に特許庁へ原本の提出が必要となった。


[出典:Abu-Ghazaleh]


リビア:新商標法発布

以前のIPNEWSでお知らせした通り、リビアでは新商標法が2010年10月21日付で発効となった。詳細については2010年7月13日号を参照されたい。


[出典:Abu-Ghazaleh]


イラク領クルド:出願受付開始

イラク領クルドでは通商産業省の建物内に商標部が設置され、出願受付が開始された。

当該商標部における登録は、クルド地区のみを保護するものであり、既にイラクに商標権を有する権利者にとって必ずしも必要となるものではない。
しかしながら、イラク・クルドの両商標局・部は近々共通の登録手続について話し合う予定であり、イラク全土において商標権の保護を確立したい権利人は、念のためイラクの登録証明書をクルド商標部に提出し、同地域における権利を確保することをお勧めする。


[出典:Abu-Ghazaleh]


台湾:知的財産専門法廷設置

台湾司法院は裁判官の専業化を進めるため、高等裁判所とその分院(支部)及び裁判官が30人未満の地方裁判所を除く全ての地方裁判所に知的財産関係案件を取扱う専門法廷・専門係を設置しなければならない、と指示した。

知的財産関係案件は専門的で特殊案件であり、各地方裁判所において知的財産専門資格を有する裁判官を優先的に起用すべきとされている。

2008年7月創設の知的財産裁判所が高等裁判所レベルに位置付けられるため地方裁判所で扱われる知的財産関係の民事・刑事事件は依然として多い。
「各級裁判所裁判官が審理する民事・刑事及び特殊な専門事件の年度司法事務分配方法」により、各裁判所が知的財産関係の新受事件を、専門法廷・専門係を設けて処理しなければならない。その法廷・係の数は裁判所長官が同所の業務量を踏まえて決める(民事・刑事は分けて計算される)。

例えば知的財産関係の年間受理件数が100件以下の場合、審理担当裁判官の指定を避けるため、二つの専門係を設けることが望ましい。
年間受理件数が100件以上の場合、民事又は刑事法廷に一つの専門係を増設する。

専門性の希薄化を避けるため、各裁判所における専門法廷又は専門係は二つの法廷又は六つの係りを上限とする。


[出典:TIPLO]


セルビア:ニース協定加盟

セルビア共和国は2010年9月17日付でニース協定に加盟した。同協定は2010年12月17日より同国において発効される。


[出典:SD PETOSEVIC]


コソボ:特許庁によるオフィシャルサーチ開始

コソボでは特許庁による類似商標調査が可能となった。当該調査にかかるオフィシャルフィーは20EURで、約10営業日かかる。しかしながら、当該調査は今の所文字商標に限定される。


[出典:SD PETOSEVIC]


ベネズエラ:商標手続の変更

ベネズエラ特許庁は2010年10月1日付公報第515号において、下記の通知を発行した。
知的財産権に関する申請において、今後は特許庁への提出と同時に必要書類を全て提出しなければならず、必要書類の後日提出は認められない。
尚、ベネズエラでは、出願時に下記の書類提出が必要とされる。

  1. 領事証明又はアポスティーユ済みの委任状
  2. 事前商標調査レポート(2009年9月8日号参照)

[出典:Clarke & Modet]


メキシコ・アルゼンチン:オフィシャルフィー上昇

メキシコでは2010年10月11日よりオフィシャルフィーが上昇し、現在継続中の案件に適用される。
また、アルゼンチンでも特許庁が既に出願及び審査に関するオフィシャルフィーの値上げを発表しており、年末から開始される予定である。


[出典:メキシコ・アルゼンチン特許庁]


チリ:商品・役務のオンラインサーチ可能に

チリ特許庁(INAPI)は指定商品・役務の区分分けを可能にする新しいオンラインサーチシステムを開始した。このシステムの開始はチリにおけるニース国際分類第9版の採用に合わせたものであり、無料で検索でき、自身の商品・役務がニース国際分類のどの区分に該当するか調べることができる。
また、INAPIは商標登録手続の簡易化と審査基準を広くユーザーに広めるため、“商標審査基準”を発表した。これはラテンアメリカ圏では珍しい試みである。


[出典:INTA Bulletin]


ブランド評価に関する新ISO設定

国際標準化機構(ISO)はブランド及び商標の価値を算定するための新規格、ISO10668を発表した。

これはブランド算定のための統一モデル設置を試みたもので、3つの分析から構成される。
当モデルはブランドの財務・法的観点からの検証のみならず、株主や消費者の行動やブランドに対する姿勢等も考慮に入れている。

ISO10668の詳細については下記のURLから購入できる。
http://www.iso.org/iso/catalogue_detail.htm?csnumber=46032


[出典:ISO]


IPニュースの定期購読

IPニュースの定期購読(無料)も受け付けていますので是非ご利用ください。
購読をご希望の方は下のボタンからお申込みください。