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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2015.10.27IP中国:オフィシャルフィーの変更 他


中国:オフィシャルフィーの変更

2015年10月14日号で中国の商標出願に関するオフィシャルフィーが下がることをお伝えしたが、これは国家発展改革委員会(The National Development and Reform Commission, NDRC)と財政部が共同で発した通知第2136号によるものであり、当該通知は2015年10月15日付で商標出願のほかにソフトウェアの著作権登録に関するオフィシャルフィーも変更した。
更に、財政部は通知102号を発し、2015年11月01日より税関登録のオフィシャルフィー徴収を中止することを発表した。


[出典:Hogan Lovells]


中国:地理的表示に関する事典発行

中国国家質量監督検査検疫総局(AQSIQ)はその直下の出版社China Zhujian Publishing Houseより中国地理的表示商品事典を発行した。
これは1,000以上の地理的表示商品についてまとめたもので、詳細な説明と文化的背景、各商品のブランド展開を記載し、10,000件以上のイラストを掲載している。

本事典は現在中国語版のみ発行されているが、シンガポールのTimes Publishing Groupと提携し、英語版も出版される。更にコンテンツをデジタル化し、GI商品に関するデータベースを構築する予定である。


[出典:China Patent Agent(HK)Ltd.]


ベトナム:インターネット上の知的財産権侵害に関する新規則

科学技術省(Ministry of Science and Technology)は、インターネット上の産業財産侵害の特定に関する新規則を公表した。新規則は知的財産権分野の侵害に関する行政処罰に関する政令第99/2013/ND-CP号に関する通知11/2015/TT-BKHCN号の主要部分を構成する。本規則は2015年08月11日付で発効されている。
新規則によれば以下のいずれかに分類される場合、組織及び個人は知的財産分野における不正競争行為を犯したとされる。

(i) 著名又は保護されている商標、商号又は地理的表示と同一あるいは混同を招く程類似する文字列を持つベトナムのcctld“.vn”を用いて、そのドメインネームが指し示すウェブサイトにおける同一・類似商品又は役務を広告あるいは紹介し、前記商標、商号、地理的表示の正当な所有者に精神的あるいは物質的損害を引き起こした場合

(ii) 名声があり著名な商標、商号又は地理的表示と同一の文字列を持つベトナムのcctld“.vn”を用いて、他者に販売して利益を求める目的、あるいは、前記商標、商号あるいは地理的表示の所有者が、その商標、商号あるいは地理的表示に関連するドメインネームを登録することを妨害する目的で、ドメインネームを使用する権利を登録あるいは専有する場合

規則はまた、侵害要素の除去、物的証拠の破壊及び不正利益の払戻を含む、知的財産侵害事件に対する救済手段の申出について示している。規則は、救済行為に要したすべての費用の支払を侵害者に課している。


[出典:VIETNAMNET]


フィリピン:WIPO調停・仲裁センターへの案件移送可能に

フィリピン知的財産庁(IPOP)はWIPOとのMoU協定により、同庁に係属する紛争の仲裁手続のWIPOへの移送を開始した。これにより、現在同国で進行中の紛争案件について、当事者の一方がフィリピン国外に居所を有する場合、同国の仲裁手続に依らず、WIPO仲裁を選択することが可能となる。これが可能となる案件とは、知的財産権侵害に関する行政告訴、不正競争、技術移転、著作権紛争となる。


[出典:Rouse]


フィリピン:知的財産庁のロゴ問題

東京オリンピックのエンブレム問題が記憶に新しい中、フィリピン知的財産庁(IPOP)がロゴの盗用を非難される事態が起きている。
ウェブサイトBaybayin.comのオーナーKristian Kabuayはフィリピン知的財産庁がデザイナーJohn Leyson氏が作成した同サイトのロゴを盗用したと非難した。Kabuay氏によれば、Leyson氏は2011年頃デザイン会社を経営しており、この頃に作成されたものであるという。
Kabuay氏は同氏のHPで各ロゴを掲載している。(下記参照)

上左から時計回りに、フィリピン知的財産庁旧ロゴ、Leyson氏のロゴ、現在の知的財産庁ロゴ(出典元:Baybayin.com)

Kabuay氏によれば、IPOPHLはロゴのみならず、Leyson氏のロゴの説明まで盗用しているという(下記参照)。

(出典元:Baybayin.com)

これに対してIPOPHLは声明を発表し、以下のように回答した。
http://www.ipophil.gov.ph/index.php/releases/2014-09-22-06-26-56/359-ipophl-statement-onits-logo

IPOPHLのロゴはIPOPHL職員との複数回の協議を経た上でフィリピンデザインセンター(Design Center of the Philippines)がデザインしたものであり、2011年10月から現在に至るまで使用されている。
この問題は2015年05月25日、即ち、使用開始から4年近く経って初めてBaybayin側の弁護士よりロゴの使用に求める報酬を求める要請状が届き、同庁が知るところとなった。
IPOPHLはロゴの起草から最終案作成に至るまで、Baybayin側の誰とも接触したことがない。
Baybayin側は同社の主張がIPOPHLによって無視されたと主張しているが、すでに4回以上の打ち合わせを行い、問題の解決策を提示するよう求めたが、PhP500,000の報酬を求めるばかりで、これについてはきっぱり拒絶した。
Baybayin自体は古代文字であり、国立博物館、国会図書会等複数の政府機関のロゴとして使用されているものである。


[出典:philstar.com]


GCC:商標法及び施行細則採択

バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAEで構成されるGCC最高評議会においてGCC商標法が採択されたが、取引協力委員会においてもその細則が採択され、2015年12月より施行される。

GCC商標法は商標の保護と権利行使について加盟国の法律を統一するものではあるが、実際の手続は各国で行うものである。GCC商標法の採択により、加盟国はいずれも国内法の改正を行うことになるが、特に影響を受けるのが商標の定義、審査及び異議申立、著名商標、並行輸入と侵害の取り扱いとなると推測されている。
GCC商標法はオフィシャルフィーも規定しているが、これについては各国で調整される予定である。


[出典:Abu-Ghazaleh]


アメリカ:猿は著作者になれるのか(2)

2014年9月09号の続報で猿が自身を撮ったセルフィーの著作権について取り上げたが、この問題は現在、第三者による訴訟にまで発展している。
本件の著作者に関して、アメリカ著作権庁が、アメリカの法律において、人間が創造した作品のみが著作物として認められるとの見解を示したが、このたび世界的に著名な動物愛護団体PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)が写真の著作権は猿にあるとし、2015年09月22日サンフランシスコの連邦裁判所に訴訟を提起した。

PETAが問題としているのは、著作権の帰属のほかに、スレーター氏が問題の写真を収録した写真集を販売し利益を得ていることで、写真集の出版社も被告となっている。
本件によって一躍有名になったこの猿は現在、“ナルト”と名付けられたが、PETAは「アメリカの著作権法は、動物が著作権を持つことを禁止していない。
ナルトが自身で写真を撮ったので、一般的な人間と同じように、ナルトに著作権がある」とし、アメリカ著作権庁の2014年の見解は一意見に過ぎないと一蹴している。また、PETAはナルトらクロザルのコミュニティ利益のため、この写真の売上管理の権利も求めている。

スレーター氏は自然愛好家であり、すでに売上の一部を自然保護のために寄付しているとも伝えられる。
猿の権利をめぐって、人間が紛争を起こすという興味深い問題について、今後も続報があり次第、お伝えする予定である。


[出典:IP Pro the Internet]


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