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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2016.02.23IPバングラデシュ:2015年商標新規則の導入 他


バングラデシュ:2015年商標新規則の導入

バングラデシュ政府産業省は2015年09月20付の官報において2015年商標規則を公布した。同規則は既に施行されており、2009年商標法を補完し、1963年商標規則を廃止する。
新規則では以下の変更が行われる。

  1. 全ての書式はベンガル語になる。同規則ではさらにベンガル語と英語の両方で書類の提出が可能である。以前は英語のみ提出可能だった。
  2. 新規則は団体商標登録に関するガイドラインを設けている。団体商標登録の申請書は次の情報を含んでいなければならない。
    • 団体名及び住所
    • 団体の目的
    • 会員情報
    • 会員の条件
    • 商標の使用条件
  3. 新しい書式の導入
  4. 商標出願、登録、更新に係る費用が上昇し、指定商品・役務の数に拘わらず固定となった。
  5. 遅滞更新費用の導入

[出典:Lall Lahiri & Salhotra]


UAE:知的財産巡回裁判所設立

アラブ首長国連邦司法省は2016年閣僚決議第137号において、知的財産権紛争を専門とする巡回裁判所の設立を発表した。
司法監査部がIP案件に関する手続と技術面に関する特別な研修を裁判官に行う。
当該裁判所の設立は、IP案件に関する遅延を減少し、迅速な解決を必要とする国のイニシアティブから発生したものである。既にアブダビの連邦裁判所において知的財産巡回裁判所が設立されており、いずれ全国に設立される予定である。

現在、巡回裁判所は取消審判等、連邦裁判所によって扱われた案件のヒアリングのみを行う。尚、連邦裁判所とは独立した独自の司法システムを有する他の首長国(ドバイも含まれる)では、現在の裁判所制度が継続されており、侵害その他のIP案件もこれらの裁判所が管轄する。


[出典:Rouse]


中国:初の音商標登録に

中国では2016年02月13日、同国初の音商標が登録された。登録されたのは中国国際放送局(CRI)のラジオ番組のテーマ曲である。
中国では2013年に改正された商標法によって、音商標も登録の申請範囲内になり、2014年5月1日から、商標局が音の商標の登録申請を取り扱い始め、今年1月末までに約450件を受理していた。


[出典:China Radio International]


中国:色の組合せから成るトレードドレスが商標権なしに司法の保護を受けた例

世界最大のチェーンソーメーカーANDREAS STIHL AG & CO. KG(STIHL)は1972年からオレンジとグレーの組合せをチェーンソーのトレードドレスとして使用しており、1995年から中国に完全子会社を設立し、商品の販売とアフターサービスを提供してきた。同社の商品は中国のほぼ全土で販売されており、ハイエンド商品マーケットの5割を占めると主張していた。

2013年、STIHLは杭州市のガーデン機器メーカーが同社のチェーンソーの模倣品を製造販売していることに気付いた。当該メーカーはSTIHLのモデルシリーズを模倣し、オレンジとグレーの組合せを使用していたが、STIHL商標は付されていなかった。
2013年09月、STIHLは杭州AICに不正競争法に基づく摘発を申請した。

AICは当該メーカーの視察を行い、オレンジとグレーの組合せを使用したチェーンソー160個と大量のスペアパーツを発見し、同じ色の組合せの使用を中止するよう命じた。更にAICはSTIHLの要請により、2014年03月と04月にも視察を行い、同メーカーが依然としてオレンジとグレーの組合せを使用した商品を製造していることを発見した。
2014年04月23日、STIHLは不正競争防止法第5条に基づき、杭州市中級人民法院に当該メーカーを提訴した。

第5条 事業者は以下に記載する不正手段を用い市場取引をし、競争相手に損害を与えてはならない。

(2)勝手に著名商品の特有な名称、包装、デザインを使用し、または著名商品と類似の名称、包装、デザインを使用して他人の著名商品と混同させ、購入者に当該著名商品であるかの誤認をさせること

2015年06月02日、人民法院は原告のオレンジとグレーの組合せを有名な日用品の独創的なトレードドレスであると認め、当該組合せの無許可の使用は不正競争防止法違反であると判断した。

被告はSTIHLが提出した証拠は商品の著名性を立証するには不足であり、オレンジとグレーの組合せは特別なものでも、識別性があるものでもないと主張し、浙江省高級人民法院に上訴した。
2015年09月18日、高級法院はメーカーの主張を認めず、控訴を棄却した。
高級法院はSTIHLの商品は中国の複数の州や都市で流通しており、十分な売上を上げている。このような商品は中国市場において高い名声を得ており、関連消費者に広く知られていると判断した。同院はSTIHLによる長期間で大量の宣伝と使用により、オレンジとグレーの組合せは関連消費者に当該トレードドレスをSTIHLの商品であると関連づけさせるものであり、当該トレードドレスは出所表示機能を果たすに十分な識別性を獲得していると判断した。

特筆すべきは、STIHLのトレードドレスは商標出願されていたが、一旦は拒絶査定を受けていたことである。STIHLは拒絶査定を受けた後、使用による識別性獲得を立証する大量な証拠を提出し、最終的に2015年08月13日に商標登録が認められた。

本件は中国において色の組合せから成るトレードドレスが「有名な日用品の独創的なトレードドレス」として司法の保護を受けた最初の例となる。
セカンダリーミーニングの立証のため、STIHLは市場調査報告、宣伝資料、売上に関する監査報告書、業界でのランキング、関連業者の宣誓書等を含む大量の資料を提出していた。


[出典:Wan Hui Da Law Firm]


中国:知的財産権権利擁護援助・告発提訴網のテスト運用を開始

中国国家知識産権局は2016年02月04日、中国知的財産権権利擁護援助・告発提訴網(www.12330.gov.cn)のテスト運用を開始し、知的財産権の権利擁護援助及び告発・提訴のオンライン申請、受理、処理とフィードバックなどの多数の機能を実現したことを明らかにした。
中国知的財産権権利擁護援助・告発提訴網は、全国の知的財産権システムの権利擁護援助・告発提訴活動及び関連情報の開示を推進するポータルサイトで、権利擁護援助、迅速な権利擁護、告発提訴、権利侵害判定、通知公告、法律法規などのコラムを設置している。


[出典:新華網]


ベネズエラ:オフィシャルフィー上昇

既にIPニュースでは複数回に渡り(2014年4月8日号2015年5月22日号同6月9日号)、ベネズエラにおける経済危機とそれに伴うオフィシャルフィーの上昇をお伝えしたが、同国において更なるオフィシャルフィーの上昇が第40.846号公報に公布された。上昇が予定されているのは商標出願、登録、更新、名義変更、使用許諾に関する費用となる。
詳細が判明次第、IPニュースでお伝えする予定であるが同国で更新期限を迎える商標権をお持ちの方は早めに更新されることをお勧めする。


[出典:Hoet Pelaez Castillo & Duque]


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