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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2017.05.16IPシンガポール:紛争に関するプラクティスの変更 他


シンガポール:紛争に関するプラクティスの変更

シンガポール知的財産庁は以下のプラクティスの変更を知らせる通知を公布した。

1) 紛争手続に係る費用
  • 各当事者は手続に係る費用の裁定の前に、聴聞を受ける機会を与えられる。
  • 一方の当事者によって手続が放棄された場合、他方の当事者は同人に対して費用を請求できる。
  • この費用にはオフィシャルフィー、運賃、印刷等妥当を思われる費用が含まれる。調査による証拠の収集やその他一般的ではない出費について支払が認められるか否かは妥当性と均衡を考慮して決定される。
  • 知的財産庁は費用の裁定にあたって商標規則第4料金表に規定されている費用を厳守しなければならない。
  • 商標規則第4料金表は2017年02月01日以降に開始された手続に適用される。
    それ以前に開始された手続に関しては、以前の料金表が適用される。
2) 不使用取消に関する証拠
  • 登録から5年を経ても使用されていない、或いは正当な理由なく5年間使用されていない商標は不使用取消の対象となる。
  • 不使用取消にあたり、使用の立証責任は商標権者にあり、使用証拠(あるいは不使用に関する正当な理由を示す証拠)とともに宣誓書と答弁書を提出しなければならない。
  • 答弁にあたり、使用証拠は後の段階で提出が可能である。使用証拠はカタログ、宣伝資料や販売を示す発注書、請求書等が含まれる。
  • 両当事者は商標権者の答弁書提出の後、さらなる使用証拠を提出できるが、これは義務ではなく、追加の証拠がないことを申請し、手続を早めることも可能である。

[出典:Donaldson & Burkinshaw]


インド:インド特許意匠商標総局年間報告書発表

インド特許意匠商標総局は2015/16年度報告書を発表した。報告書によれば、特許、意匠、商標及びGIはそれぞれ前年度に比べ出願数が増えている。うち商標の対前年度増加比は34.37%と最も高く、これは商標法の改正に依るところが大きいと分析している。


[出典:Lall Lahiri & Salhotra]


インド:著作権委員会、知的財産権不服審判部(IPAB) に統合される

インドでは2017年03月22日、2017年財政法案が採択され、8つの裁判所が他の裁判所にその機能を移譲することになった。その中の一つに著作権を扱う著作権委員会(Copyright board)があり、その機能は知的財産不服審判部(IPAB)に移譲される。
著作権委員会の職員は統合後、もともと所属していた各省庁へ戻ることになる。
委員長、副委員長その他の委員は3か月在職した後、早期退職手当をもらう予定である。
また従来、委員会及び審判部はそれぞれ著作権法、商標法下で定められた職務に従っていたが、今後は中央政府がその職権等を特定することになる。


[出典:Lall Lahiri & Salhotra]


モザンビーク:使用意思宣誓書に関する変更

モザンビーク特許庁は2016年12月15日付で通知を出し、使用意思宣誓書の提出期限について再度明確にするとともに(2014年11月11日付IPニュース参照)、提出にかかるオフィシャルフィーについて2017年03月01日よりクラス毎にチャージすることを公布した。
したがって、今後使用意思宣誓書の提出については区分毎にオフィシャルフィーがかかる。


[出典:Adams & Adams]


ロシア:ミラーサイトに対する手続強化の動き

2017年03月15日、ロシアで情報技術及び保護に関する法律を改正する政令草案が発表された。その目的は手段を問わず(模倣、翻訳、リダイレクト等)元のWebサイト又はWebページを不正コンテンツで再生するミラーサイトに対する法的行為の迅速化と簡易化である。
改正法では著作権者が自身の権利を証明するために別途著作権存在証明に関する裁判を経ることなく、ミラーサイトに対する裁判所命令を得ることが可能となる。
また、改正法では検索エンジン又はネットサービス業者に対して、検索結果からミラーサイトに関する情報又はリンクを除外するよう定め、従わなかった場合の法的責任を課している。
一方で、ISPに対して自身のイニシアティブでミラーサイトを明らかにする義務は課していない。
改正法によって、一番影響を受けるのは特定の状況においてミラーサイトと判断される虞のあるSNSと考えられる。しかしながら、その場合においても裁判所命令に比べてシャットダウン要請(Take Down Notice)を選ぶ権利者の方が多いと予測される。
尚、この政令はまだ下院を通過した段階であり、実際に法改正が行われるかは不明である。


[出典:SD PETOSEVIC]


東欧関税同盟:ユーラシア経済連合関税法典施行及びユーラシア商標制度設立の動き

アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、ロシアの5か国からなるユーラシア経済連合(EAEU)では年末、又は2018年初めに関税法典を施行する予定である。
新法典はEAEU税関登録局を設立し、これは各国の税関登録局と併存することになる。同税関には商標、地理的表示、著作権及び著作隣接権を登録できるが、その登録にあたり、権利人は加盟国全てにおける権利を証明しなければならない。更に、代理人を介して登録する場合、5か国全てに有効な委任状を提出することになる。
登録は2年間有効で、2年毎に更新可能であるが、いずれの場合も各国に登録している商標権の有効期限を超えてはならない。
法典施行後、細則が公布される予定である。
また上記の動きと並行して、ユーラシア商標制度を設置する動きも進んでいる。
2013年2月13日号でもこの動きをお伝えしたが、EAEUを包括する商標、原産地呼称(AOC)に関する協定は既に2017年03月17日ユーラシア経済委員会(EEC)閣議で採択され、現在各加盟国における調整段階である。


[出典:SD PETOSEVIC]


中国:登録社名の訂正に関する管理改善に関する意見公布

2017年04月06日、中国工商行政管理総局(SAIC)は社名登記の改善を含む意見を公布した。主な改善点は2017年10月までに商号バンクを設置し、類似の社名がないかをチェックできるようにする等5つにまとめられるが、エンフォースメントの側面では以下3つのガイドラインが公表されている。

  1. 社名に関する紛争解決の迅速化
    調停による紛争解決を促進し、解決しなかった場合は地方のAICに不正社名の訂正を要請する。
  2. 社名と商標の抵触解決
    SAICは商標法及び不正競争防止法に基づき、登録商標又は未登録の著名商標と商号の紛争を解決する制度と手続の改善を地方AICに要求している。これに基づき、各AICの登記課は積極的に改善を進めるよう求められている。
  3. 不正な社名の訂正
    SAICは社名情報公開に関する暫定規則に基づき、AICが不適切と判断した社名の訂正を企業が拒絶した場合、当該企業の統一社会信用コード(unified social credit number)と不適切判断された標章を国家企業信用情報公開制度に公開できると規定している。

[出典:LexField Law Offices]


コンゴ:知的財産庁一時閉鎖

コンゴ民主共和国(DRC)の知的財産庁は、首都キンシャサの政治的、社会的不安により現在は閉鎖されている。民主発展連合("Rally")として知られている野党傘下のグループは、権力分配をめぐる交渉と今年後半に選挙を行なうことを要求し、ジョセフ・カビラ大統領に圧力をかけるために、「ゴーストタウン・オペレーション」、いわゆるゼネストを呼びかけている。
この状況は今年度中、断続的に発生し、予定された選挙まで続くことが予想されている。


[出典:Adams & Adams]


ペルー:商標審査短縮へ

ペルーでは商標と特許の登録の簡易化と迅速化を目指す法令第1309号が公布された。
これによれば、第三者から申立のなかった不服審判について、従来解決とされるまで180営業日を要したが、今後は30営業日となる。また手続に関する全ての通知は電子化され、これらの作成や送付に係っていた時間が大幅に短縮される予定である。


[出典:Francisco Espinosa Reboa]


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