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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2015.01.14IPEU:「サービスの小売」登録可能に 他


EU:「サービスの小売」登録可能に

現在「商品の小売」に関してCTM商標の登録は可能であるが、この都度、欧州司法裁判所(CJEU)が「サービスの小売」に関しても第35類の登録を認めると決定した(C-420/13)。

2011年09月、Netto Marken-Discount社はドイツにおいて、同社のロゴを35類を含む複数の区分に商標出願した。第35類の指定役務に関して、同社は以下の申請を行った。

“Class 35: Services in the retail and wholesale trade, particularly the bringing together, for the benefit of others, of a variety of services enabling customers conveniently to purchase those services, particularly services provided by retail stores, wholesale outlets, through mail order catalogues or by means of electronic media, for example websites or television shopping programmes, in relation to the following services: in Class 35 Advertising; business management; business administration; office functions; in Class 36: Issue of vouchers or tokens of value; in Class 39: Travel arrangement; in Class 41: Entertainment; in Class 45: Personal and social services intended to meet the needs of individuals”

(小売と卸売に関するサービス、即ち、他人の便宜のために各種サービスを揃え、顧客がこれらの商品を購入するために便宜を図ること、これらのサービスは以下のサービスに関連してWebサイトやテレビのショッピング番組等の電子メディアやメールオーダーカタログを介して小売店、卸売店によって提供される、即ち第35類:広告、経営管理、事務処理、第36類:割引券又は商品券の発行、第39:旅行代理店、第41類:娯楽提供、第45類:個人の要求を満たすために意図された個人・社会的サービス)

2012年09月、ドイツ特許庁は本願の指定役務について「その内容また保護範囲のいずれにおいてもその他の役務と明確に区別されていない」という理由に基づき拒絶した。出願人は連邦特許裁判所に不服申立を行った。連邦裁判所はCJEUがサービスの小売が有効な役務であるか決定したことがなかったため、当該裁判所に対して「サービスの小売」が「役務」として認められるかについて問題を付託した。

この問題についてCJEUは「出願人がどのサービスを提供するかを管轄機関と事業者(economic operator)が認識できるように十分正確かつ明確に作成されている」場合、「サービスの小売」は役務として認められると回答した。
これにより、今後EUでは「サービスの小売」を指定役務として登録することが可能となった。

本判決は画期的ではあるが、一方で「サービスの小売」とは一体何を指すのか疑問に思う者も多く、実際本件に関するEUの複数の知財関連者のブログ、ニュースを見ても「一体出願人は何を保護したかったのか」という素朴な疑問が複数挙げられている。これに関して、EUの代理人に確認したところ例えば、「複数の生命保険業者、旅行代理店、引っ越し業者の各種プランをまとめて掲載し、ユーザーがその中から希望するプランを選択し、決済まで行うWebサイト」「レストラン、映画館、スポーツ施設等を提供する複合施設」等のサービスが該当すると思われる。即ち、異なる業種のサービスを取りそろえ、ユーザーの便宜のためにまとめて提供し、比較検討と購入が行えるサービスとなる。


[出典:CJEU]


ガーナ:商標法改正

ガーナでは2014年07月25日付で改正商標法876/2014号が発効され、以下の点が改正された。

  • マドリッドプロトコルが国内法に正式に採用された:同国は2008年06月16日付でマドプロへ加盟していたが、正式に国内法に取り込まれておらず、同国を指定する国際登録の有効性を疑問視する声もあった。改正法は旧法下で登録された国際登録に関して言及していないため、改正法発効日以前の国際登録の効力に関しては未解決のままとなっている。
  • 改正法は新たに54条を設定したが、同条項において国際登録に関する取扱いが規定されており、例えば同国を指定する国際登録に関する記録を維持し、規定の18か月以内に拒絶理由を発しなければならないことが定められている。
    従来、同国を指定する国際登録商標に関して同国の商標庁から1通の拒絶通知が発せられたことがなく、果たして同国において国際登録商標が適切に審査されているのか疑いがあった。
  • 商標の定義が拡大され、デザイン(図形)、色彩、形状、ホログラム、“著作権で保護されるには不十分な長さのスローガン”が含まれた
  • 証明商標が登録可能となった
  • 出願時に出願人は使用又は使用意思のいずれかを宣誓しなければならない。
    しかしこれについて具体的にどのような形で実施されるかは不明である。
  • 著名商標について、「関連する公衆に認識され、知られた」商標であると定義された。
  • 商標は部分譲渡も可能であり、営業権(Goodwill)を伴う場合、伴わない場合のいずれも可能である。
  • 使用許諾契約において、品質管理条項が含まれなければならなくなった。
  • 意図的な商標権侵害に対する刑事罰が厳しくなり、食品、薬品、家庭用薬品、化粧品、車両及び機械部品、電化製品に関する案件に関しては保釈も認められなくなった。

しかしながら、今回の改正は商標庁内でもその公布を知らなかったものが多く、どの程度施行されるか明確ではない。


[出典:Spoor & Fisher]


シエラレオネ:商標法改正

2014年07月22日付でシエラレオネは2014年商標法を採択し、2014年10月09日付で公報に掲載された。同改正法第4条(1)において商標出願は国際区分に基づき申請しなければならないことが規定され、ここにおいて、同国は1938年イギリス区分からようやくニース国際分類表を採用したことになり、役務商標の登録が可能となる予定である。改正法は未だ施行されていないが、決定され次第、IPニュースでお伝えする予定である。


[出典:INVENTA]


OAPI、ジンバブエ:マドプロ加盟へ

OAPIとジンバブエはそれぞれ2014年12月05日、11日付でマドプロ加盟を決定した。これにより2015年03月05日、11日から、これらの国を指定国とすることが可能となる。


[出典:WIPO]


中国:商標に関するプラクティスの変更

中国商標局は2014年12月29日に2015年1月1日からニース国際分類表第10-2015版を同日以降の出願に適用することを発表した。改正点に関しては以下のURLに掲載されている。

また、2014年5月1日の改正で1商標多区分制度が採用されたことに伴い、商標局は2014年12月02日付で商標登録証の様式を新しくすることを発表した。新様式のサンプルは以下のURLで確認できる。


[出典:中国知識産権資訊網]


中国:北京知的財産法院

2014年12月09日号で北京知的財産法院が2014年11月06日から運営を開始したことをお伝えしたが、1か月を経過した12月05日までの受理案件総数は221件、うち一審案件219件、二審案件2件となった。
一審案件中、一審案件中、知財行政案件は138件、全て専利・商標権付与、権利確定行政案件で、その中で専利行政案件52件、商標行政案件86件であった。
知財民事案件は81件で、その中で専利権侵害案件45件、コンピューターソフトウェア案件4件、技術秘密案件1件、馳名商標に関する案件1件であった。
上述案件はすでに実体審理プロセスに入っている。
ここまでの案件の特徴としては専利と商標の権利登録、確認に関する行政案件の比重が高く、全体の63%(138件)を占め、うち商標行政案件は次第に増加する傾向にある。これは商標評審委員会がシステムのバージョンアップのため案件処理が滞っていたものが、新システムでの運用が開始され、短期間で大量の案件を裁定しているためと考えられる。
また、外国の権利者に係る案件も多く36%を占める。

知的財産法院成立以前、北京では3つの中級人民法院が知的財産案件を受理していたが、これらの法院の毎年の案件総数から鑑み、将来的に知的財産法院は最低でも毎年15000件の案件を処理すると見込まれる。


[出典:Beijing East IP、中国知識産権資訊網]


中国:広州知的財産法院設立

2014年10月28日号12月9日号でお伝えした通り、注目されていた広州知的財産法院が2014年12月15日に設立され、蘿崗区法院の所在地に立地する。
知的財産法院は蘿崗区法院の3、4階にオフィスを置き、既に一部のメンバーが関連業務を開始しているが、将来的には知識の城と呼ばれる鳳凰湖の北側にある知的財産権保護サービスエリアに本拠地を置く予定である。


[出典:南方日報]


クウェート:パリ条約発効

2014年10月14日号でクウェートのパリ条約加盟をお伝えしたが、2014年12月02日付で同国内に発効され、今後クウェートではパリ条約に基づく優先権主張が可能となった。


[出典:United IP Times, Jah & Co,]


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